新聞掲載記事

物流ニッポン(物流ニッポン新聞社)2009年6月1日号

物流ニッポン 平成21年6月1日号 日頃から運転に集中 全ドライバーに安全意識

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【以下新聞記事全文】

 

「脇見運転をしていたら助からなかっただろう」―。  精密機器の輸送などを手掛けるカーレントサービス(東京都大田区)の保坂高広社長は、事故をこう振り返る。

 

四月十四日、東京都千代田区麹町四丁目国道二十号線沿いの工事現場で、大型クレーンが転倒。歩行者一人が死亡し、五人の重軽傷者を出す大事故となった。クレーンは同社ドライバー一人を含む三人を乗せたトラックの運転席部分を直撃。重軽傷の三人のうち、一人が退院したばかりだ。被害に遭ったのはことし結成した「アスリートオフィス移転チーム」で、仕事中の出来事だった。

 

ドライバーは空手家で、入社半年目での事故だった。運転席は大破し、車内に閉じ込められた。車内から会社への第一報は「運送途中で事故に遭った。他の車両を手配してほしい」だったという。

 

保坂氏は「社員全員が、車両と荷物を愛している。その証拠に、車両はドライバー自ら毎日洗車していて、全国一綺麗だという自信がある」と話す。

 

荷物を守るため、事故対策には余念がない。ドライブレコーダーを全三十六両中十八両に導入、近く全車両に装着する予定だ。走行中の喫煙はもちろん、渋滞時の暇つぶし行為をなくすため、目に見える場所に漫画雑誌などを置くことも禁止した。教育対策委員会を設立し、事故映像の上映会や安全標語コンテストを開催。全ドライバーに危機意識を持たせている。

 

「四月の事故も、あと少し避けるのが遅かったらクレーンの下敷きになっていた。日頃から運転に集中していた結果だろう」

「がんじがらめにはしたくないが、事故防止のため。会う度に口頭注意もするので口うるさいかもしれないが、理解してもらうしかない」と保坂氏は安全第一を強調する。

 

最近では、マニュアル作製などの事務作業もドライバーが行う。「ただ運ぶだけではない、セールスドライバーを養成したい」と語る。

 

六月には梱包事業を手掛けるキョーワ・トレッド(保坂社長、同)で、品質検査トータルサポート事業を始める。サプライヤーがメーカーに納品する機器などをメーカーに代わって検品するもの。海外の戦場で軍事関連機器を検査した実績を持つ五人のスタッフが担当する。講師派遣、コンサルティングなども行う。検査した部品の梱包、輸送事業受注につなげる狙いだ。保坂氏は「サービスを拡充し、物流トータルサービス体制を確立したい」と抱負を話す。

 

物流ニッポン 平成21年6月1日号

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